
こんにちは!シナネンあかりの森プロジェクト 事務局です。
本日はハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄様より届きました「瀬良垣島・クマノミ育成プロジェクト」の進捗状況についてご紹介いたします。
(写真:ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄)
ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄様では、沖縄科学技術⼤学院⼤学(OIST)の海洋気候変動ユニットの監修のもと、地元である瀬良垣島周辺でのカクレクマノミの育成と海洋での保全・復元を目的に活動を行っています。
現在、ホテル周辺に定着したクマノミは13匹前後となっているとのことです。
(参考:OIST資料「Okinawa Reef Restoration Simple Overview2025-2026」より)
監修の主担当者であるルーカス様はご出身国のポルトガルでの水族館勤務、真珠を始めとする培養事業へ従事されるなど、海洋分野での実績あり、本プロジェクトへも日々情熱を持って取り組まれていらっしゃいます。
(写真:左より大城様、ルーカス様、花俣様)
本プロジェクトはOISTのマリン・サイエンス・ステーションにて飼育したクマノミをふ化させ、その稚魚を周辺の海に放流し定着することを一つの目標としていましたが、捕食等の影響によりクマノミの住処となるイソギンチャクになかなか定着することができませんでした。
そこで現在は、クマノミの繁殖は継続しつつ、イソギンチャクに着目し「ハタゴイソギンチャクの自然復帰における研究」に取り組まれております。
昨年の検証では残念ながらイソギンチャクを繁殖させる段階までは進むことができませんでした。
(写真:カクレクマノミ)
昨年の研究を踏まえ、OISTでは2025年5月~2026年4月までの1年間のプロジェクトを計画し進めていらっしゃいます。
(参考:OIST資料「Okinawa Reef Restoration Simple Overview2025-2026」より)
ここから、イソギンチャクの成長過程についてOISTのプロジェクト計画を基にご紹介していきます。
■2025年5月~6月:「イソギンチャクの準備期間」
この期間は、OISTで管理されているイソギンチャクの健康状態を整え、繁殖可能な状態にするための準備を行います。
主な取り組みは以下の通りです
・エビやビタミンペレットの追加
・色・大きさ・水質の管理
・将来の餌となる微細藻類の培養開始
■2025年7月~8月:「産卵期」
夜間観察を行い、卵子と精子の採取を実施します。
この時期の海水は、イソギンチャクにとって最適な環境を保つ必要があり、特に水温は23℃程度を維持することが重要です。
(写真:順調に育っているイソギンチャク)
■2025年10月頃:幼生の定着支援
定着した幼生のうち、30%がイソギンチャクとしての形態に落ち着くことを目標に、成長を支援していきます。
■2025年12月まで:定着と解析
クマノミの安定した個体群をイソギンチャクに呼び込み、定着させることを目指します。
また、以下の研究も並行して進められます。
・若いイソギンチャクの遺伝的多様性の解析
・冬季の海水温に対するコールドショック耐性試験
・新たな海域3スポットへのイソギンチャク移植
(写真:健康なイソギンチャクの中で生活するクマノミ)
■ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄 広報担当 川上様 コメント
「2024年は台風が少なく、海水温度の上昇がイソギンチャクへも影響を与えておりました。
台風の発生が少なくなると、海水が十分に掻き回されず、表層の海水温が高止まりする傾向が見られます。このような高温状態が長期間続くと、海洋生態系に悪影響を及ぼし、特にイソギンチャクは高温に弱く、成長が遅れたり、最悪の場合は死滅してしまうことがあるのです。
今年は、台風が適度に発生し、海域が新しいイソギンチャクにとって良い住処となることを願っています。」
(写真:現在OISTの水槽で成長しているクマノミとイソギンチャク)
イソギンチャクの成長について初めて知った方もいらっしゃるのでないでしょうか?
今年の夏は気温だけでなく台風情報にも注目しながら、海洋生物への影響について考えてみたいと思います。
あかりの森プロジェクトとは?